留学生より


支持者の皆様へ -スリランカ留学生より-

 私はパリタ・ジャヤセカラというスリランカから来た留学生です。現在東京大学の森林生態系学研究室に所属しております。

 私の国が津波によってどうなったかは説明するまでもないことだと思いますが、私は心痛のあまり国に帰って被災者を救援したいと思いました。しかし母国の教授陣にそれを話してみると日本にとどまって救援活動をした方が良いと言われました。そこで東京大学の高槻成紀先生とその可能性を検討し、日本で被災者救援活動をすることにしました。

 スリランカ大使館に連絡を取って必要な緊急支援物資のリストを取得し、それらを収集しはじめました。多くの日本人研究者や友人にeメールを送り、結果、沢山の物資や義援金を頂きました。スリランカに向けてすでに薬品を含むトラック2台分の物資を送りました。そういう訳で日本人の方々のご親切にとても感謝しております。

 既にご存知と思いますが、多くの国々が津波被災者の生活を立て直すために必要な物資をすでに送っています。確かに初期段階では被災者が自分たちの家で落ち着きを取り戻せるよう私たちが支援し、政府は彼らが日常の生活に戻れることを支援しなければなりませんが、今のところ「日常の生活」は遠い夢のようです。

 私達がかかわるかぎりでは、本当の問題点は近い将来にあります。というのも食べ物や家を供給することはすべての解決にはならないからです。私達が本当に心配しているのは子供達の教育です。子供達がこの悲劇によって学校に行かなくなることは哀しいことです。もし両親や片親をなくした子供がいれば、彼らは被害を受けた一番の当事者です。被災した子供達は祖父母や親戚の家に住めますが、どのくらい長く親戚は彼らをサポートできるでしょうか。親戚の家にも育てている子供がいるでしょう。この状況下では若年層のうちに学校を去り、自活するために働かなければならないことになります。こうこうなるとまさに災害ということになってしまいます。

 ですから私達が彼らの教育支援をすればホストファミリーの問題は解消できるし、子供達はよりよい立場につくことができます。そしてそれが良い社会をつくることにつながります。今から10~15年後にはこの子供達が国の原動力となるのです。ですから私達は彼らの教育を支援しなければなりません。この時局を鑑み、私たちは彼らの教育のための奨学金制度を樹立することにしました。

 私は一人の息子の父親で、彼に最高の教育を与えることを切望しています。彼は社会に邪魔されることなくひとり立ちできると信じています。この哀しい災害で亡くなっていった多くの親は自分の子供たちに出来るかぎり最高の教育を受けさせたかったであろうと思います。しかしながら残念なことにそれを実現できませんでした。もし私達が支援すれば亡くなった方々の思いを満たすことにもなると思います。親をなくした子供のことを聞いたときに、彼らの痛みを感じました。支援者の方々の多くは親であり、きっとその痛みも分かるであろうと信じています。

 今のところ10人の子供達の情報を収集しましたが、まだ何組もいるので、出来るかぎり支援してあげたいのです。私達が全員を支援できるわけではないのですが、ベストを尽くしたいと思っています。私達の趣旨にご賛同いただけましたなら是非義援金にご協力をお願い致します。出来る限りのご協力を賜りたいと切に願います。

敬具

2005年2月17日
スリランカからの留学生 パリタ・ジャヤセカラ Ph.D.