ご報告
ご報告(2005年4月21日)
皆様の善意によってスリランカで津波被害にあった人々に対して緊急援助をすることができましたが、私たちはこの被災に長期的な援助も必要であると考え、孤児の教育支援をすることにました。これについては先にご報告したところです。この支援は「ゾウさん基金」という名前とし、皆様からの義援金をもとに基金を作ってスリランカの銀行に預金しその利子を教育経費に充てるものです。
私は今回(4月11日)スリランカを訪問し、南部のハンバントータ地区アンバラントータ市のテラプッタ小学校で孤児たちと関係者にお会いすることができました。これに先立ってハンバントータ市にあるコマーシャル銀行に口座を設置し、200万円を基金として入金しました。テラプッタ小学校で開催された感謝式典には基金を受ける孤児と親族の方、それに関係者が参列されました。
私たちが小学校に行くと数人の子供たちが正装をして並んで待っていてくれました。褐色の元気そうな肌に純白の服がよく似合いました。私は花の首輪をまいてもらい、ベトルという名の木の葉を重ねたものを受け取りました。
会場は講堂のようなところで、幕の前に大きな字で私を歓迎する文字が書いてあり恐縮しました。初めに現地責任者であるドゥシュマンタ・シリマリワッタさんから挨拶と説明があり、僧侶のガイドによりお祈りがなされました。
そのあと一人の児童がきれいな英語で実に立派な挨拶をし、児童全員が津波から立ち上がる歌を歌ってくれました。それから私のスピーチとなり、自分とスリランカの人々とのこと、今回の基金のこと、希望をもって生きて欲しいことなどを話しました。私は花環をもらったときから胸がいっぱいになっていたのですが、孤児のうち半分くらいが本当にまだ小さく何が起きたのかさえわからないようで、その子たちの心中や亡くなられた親御さんの無念さなどが胸中に去来して、不覚にもことばにつまってしまいました。
それから子供が一人ひとり名前を呼ばれ、緊張したおももちで私からおみやげを受けとって握手しました。それから経理関係の仕事を引き受けて下さるコマーシャル銀行のヘマンタ・ソーリヤバンダラさんがこの基金の設立経緯を話され、最後に「私たちはお金では償えないものを失いました。しかしそうはいっても私たちを助けてくれるのがお金であることも確かです。私が経理という側面からこの大切な活動に貢献できることをうれしく思います。皆さんが一生懸命勉強してこの国の再興に必ず役立ってくれることを確信しています」と言われたのがとても感動的でした。
これで式典は終わり、その後はお茶とお菓子でなごやかなパーティとなりました。最後に校庭に出て大きな木の下で記念撮影をしました。
皆様のご厚情を確かに渡すことができ、大きな荷物を降ろした気持ちです。以上、スリランカ訪問のご報告とさせて頂きます。私の右手にはまだあの小さく柔らかい子供たちの手の感触が残っていますが、その手が私と同じくらいになるまで支援を続けなければなりません。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。
ご挨拶
アユボワン(こんにちは)。私は皆さんとお会いできてとてもうれしく思います。私はスリランカから二人の留学生を迎えたので、いっしょにスリランカの野生動物のことを調べて、たくさん勉強できました。そして今はゾウの研究をしています。動物のことも学びましたが、私にとってもっと大切なのは、スリランカの人たちに動物やまわりの人に対するやさしさを教えてもらったことです。スリランカに調査に来るたびに多くの人に親切にしてもらい、とくに明るい子供たちに出会うのは私の大きなよろこびです。
ところが、そのスリランカの子供たちにとってこの上ない悲しいことが起きてしまいました。私は二年前に父を亡くしました。その悲しみから立ち上がるのはとてもたいへんでした。でも私は大人です。それに比べて皆さんはまだとても小さいので、皆さんがお父さんやお母さんを亡くしたことがどれほどたいへんなことなのかは私には想像できないほどです。ですから、津波のしらせを聞いたとき、私たちはなんとかスリランカの子供たちのために役に立ちたいと考えて、募金活動を始めました。すぐにお金が送られたので薬などを買って送りました。お金は予想以上に集まり、また私たちはこの被害が一時的なものでないと考えて、そのお金を皆さんが勉強を続けられるために使いたいと考えました。お金は銀行に預けました。それをもとに利子というものが生まれ、それを使うことができるのです。
皆さんの多くはまだ幼くて、私のお話の意味がよくわからないかもしれません。でもひとつだけ覚えておいて下さい。それは皆さんが一人で生きているのではないということです。親戚の人や町の人、それだけでなく、遠い日本にも皆さんを支える人がいるのだということを忘れないでください。皆さんが希望をもって生きること、それが天国のお父さんやお母さんがいちばん望んでおられることです。
ありがとうございました。
子供たちからの手紙とその返信
高槻がスリランカを訪問したあと、子供たちから手紙が届きました。そのうち3通を紹介します。スリランカのシンハラ語で書かれたものの翻訳です。